育休・離職ブランク後の病院薬剤師が最初にやるべき勉強ロードマップ【1カ月〜3カ月】

家事・育児の工夫

今日は、hiyokoです。3人の子育てをしながら、総合病院で薬剤師として勤務しています。

育休・転職・離職などで現場を離れると、現場の空気についていけず、「どこから勉強し直せばいいの?」と不安になりますよね。

病院薬剤師は扱う薬剤や業務も幅広く、復職後にスムーズに動けるようにするには最初の1〜3カ月の勉強計画が重要です。

この記事では、1カ月・2カ月・3カ月のステップごとの勉強ロードマップを薬剤師向けにまとめました。

なるべく早く、職場で現場感を取り戻したい方に役立つ内容です。

全体ロードマップ|まずは“広く浅く”、次に“深く”

ブランク後すぐにガッツリ勉強するのは、子育てや環境変化への負担もあり非現実的。
最初の3カ月は次の流れで進めると負担が少なく効率的です。

  • 1カ月目:基礎の棚卸し(現場で必要な知識を思い出す時期)
  • 2カ月目:病棟・DIの必須領域を深める(自信の土台を作る)
  • 3カ月目:自分が担当する領域に寄せて実践的に仕上げる

後半ほど「自分の職場の領域に合わせる」工程が大切になります。

1カ月目|ブランク明けの“知識リハビリ”期間

病院薬剤師の基礎スキルの総復習

まずは「基礎の思い出し」。
完璧に理解しようとせず、“あ、これあったな”と思い出す作業がメインです。

  • 薬効分類のざっくり復習
  • よく使う治療ガイドライン(感染症、高血圧、糖尿病、心不全)をざっと読む
  • TDMや注射薬の基本ルールの確認
  • 薬歴・病棟記録の書き方の再確認など

新人に戻った気持ちで、一から順番に確認していきましょう。今まで当たり前にやっていた業務でも、新たな視点で確認でき、再発見があることも。

絶対押さえたい“最近の改訂”チェック

自分の業務に関わる「最近の改訂」をチェックすることで、古い知識のまま業務を行う不安を減らせます。

  • PMDAの安全性情報の改訂
  • 薬価改定や医薬品の供給不安定で職場での採用薬が変わっていないか
  • SGLT2阻害薬・GLP-1作動薬など、頻出系の最新知識
  • 新型コロナ関連の薬剤(※最新は勤務先に合わせる)

たった数ヶ月のブランクでも、薬のトレンドは変わっています。

ポイントは「全部やらない」こと。
全部完璧にやろうとすると育児家事との両立が難しくなり、「私って何もかも中途半端・・・」と落ち込んでしまうことも。

病院薬剤師として最低限押さえるべき項目だけで十分です。無理せず隙間時間に確認していきましょう。

調剤・注射・病棟業務の流れの再確認

  • 調剤のチェックポイント
  • 注射薬混合の基本(配合変化、遮光、溶解、速度など)
  • 病棟でのSOAPの書き方
  • 申し送りやカンファの流れ

業務手順は忘れがちですが、意外と体が覚えており、一度見ればかなり思い出せる領域です。
復職前にマニュアルを確認できる場合は、目を通しておくと安心です。

復職前に行っておくべき準備については、別記事でまとめましたので、参考にして下さい。

2カ月目|病棟・DIの“よく聞かれる領域”を固める

感染症・抗菌薬の復習(最優先領域)

どの規模の病院であっても、感染症や抗菌薬の知識は必ず必要になります。

  • 抗菌薬のスペクトラム
  • 腎機能別の用量調整
  • TDM(VCM・TEICなど)
  • AST/ICT介入ポイントの理解

感染症はどの病棟でも避けられません。
特に腎機能調整や抗菌薬の選択は、ブランク明けで差が出やすい部分になる為、最優先で確認しておきましょう。

循環器・代謝系(糖尿病・高血圧・心不全)

病院によると思うのですが、現代の高齢化社会の中では、循環器系や代謝系の患者の割合が大きいです。

  • 病院でよく使う薬剤
  • ガイドラインの“要点だけ”

さらっと確認しておきましょう。

インスリン製剤やSGLT2阻害薬など、年々開発される薬剤も増えている印象です。
ブランク明けでも業務についていけるよう最低限の知識を身につけておくと、安心して業務に取り組めます。

周術期・麻酔科関連の薬剤(手術の多い病院向け)

病院によっては、手術室や救急外来に薬剤師が配置されている場合もあります。
緊急性がある場合もあり、子育て中や時短勤務の場合は、配置されることはあまり多くないはずですが、

  • 鎮痛薬
  • 麻酔導入・鎮静薬
  • 術前中止薬のルール(抗血小板薬・抗凝固薬)、など

基礎的な知識は、もしもの時に備えて確認しておくのが安心です。

3カ月目|自分の担当業務に合わせて仕上げる

調剤・注射払い出し・病棟業務など、自分の担当業務に合わせる

復職後に配置された部署に特化して、知識を仕上げていきます。

  • 調剤:吸入薬の使用方法、患者からの問い合わせに対する返答の練習など
  • 注射払い出し:透析薬、造影剤の種類チェック、配合変化など
  • 病棟業務:検査値の確認、持参薬鑑別の手順チェックなど

薬剤師としては、全て知っておく知識だとしても、子育て中は勉強時間が十分に取れません。

自分の担当部署に特化した知識を身につけていき、余裕が出てきたら徐々に他部署に関する知識も勉強していけば安心です。

医師や看護師からよく相談されるポイントの強化

他職種からの問い合わせ業務は薬剤師としては、避けて通れない内容です。

  • 腎機能・肝機能と薬の調整
  • 薬物相互作用
  • 高齢者の減薬提案
  • 体重・BMI・ccrからの投与量の計算
  • 注射薬の配合変化や、錠剤の粉砕可否、簡易懸濁など

昨今は、医薬品の流通が不安定なこともあり、今まで使っていた採用薬の代替を質問されることも増えてきました。

薬剤師として、最新のトレンドを把握しつつ、正確な情報を提供できるよう努めましょう。

“薬剤師としての強み”を復活させるアウトプット練習

薬の知識はインプットするのも大事ですが、アウトプットすることで、更に内容を深く覚えることができます。

  • 1つでいいからSOAPを書いてみる
  • ガイドラインを1つまとめてみる
  • よくある質問をメモ化しておく

私は、業務中に遭遇した疑問や質問を、お気に入りの手帳に記載し、都度見返すようにしています。

ただインプットするだけでは、宝の持ち腐れ。使わない知識は徐々に忘れていってしまいます。
積極的にアウトプットして知識を自分のものにしていきましょう。

おすすめ参考書・サイト一覧(ブランク向け)

ここからは、ブランクを抱えた薬剤師におすすめの参考書やサイトを紹介します。

書籍

  • 今日の治療薬
  • 治療薬ハンドブック
  • 治療薬マニュアルなど

最新の治療ガイドラインの紹介や、薬の使い分け、用法用量などが詳しく記載されており、どの本も薬の基礎固めには最適です。一冊読むだけで、一通りの内容を確認することが出来ます。

WEBサイト

昼休みなどの隙間時間には、WEBサイトの閲覧もお勧めです。

  • 日経メディカル
  • m3.com
  • 他薬剤師発信のインスタグラムやXなど

個人的には「日経メディカル」がお勧めです。ガイドラインの確認から、セミナーの視聴、薬剤師向けのDIクイズなど閲覧することができ、薬剤師としての基礎知識を常にアップデートすることが出来ます。

まとめ|3カ月あれば“現場感”は戻せる

復職後は忙しくなりますが、最初の数ヶ月の準備があるかないかでその後の心の余裕が大きく変わります。
無理のないペースで、1→2→3カ月と階段式にステップアップすれば、早い段階で、現場感を取り戻すことが可能です。

最初の数ヶ月は、育児との両立に悩むこともあるかと思いますが、無理せず、自分のペースで着実に進めていきましょう。

以上、hiyokoでした^^

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