配合変化とは?原因と具体例を薬剤師向けに解説|無菌製剤処理の基本も

日病薬認定試験勉強

今日は、hiyokoです。総合病院で薬剤師として勤務しています。

病院薬剤師の業務では、注射薬の配合変化に注意する場面が多くあります。

・この薬は別の薬と混ぜて大丈夫?
・混ぜたら沈殿する可能性はある?
・溶媒は生食?ブドウ糖?

こうした疑問を持つことも多いのではないでしょうか。

また、無菌製剤処理では配合変化だけでなく、無菌操作の知識も重要になります。

この記事では
・配合変化の基本
・原因と具体例
・無菌製剤処理のポイント
を、病院薬剤師向けにわかりやすく解説します。

配合変化とは

初めに、病院で問い合わせも多くある配合変化について、基礎からおさらいしていきます。

配合変化の定義

配合変化とは、複数の薬剤を混合した際に

  • 外観
  • 化学構造
  • 薬効

などが変化する現象です。

配合変化の種類

ここでは配合変化の代表例3つをまとめます。

物理的配合変化

物理的配合変化とは、薬剤を混合した際に外観や物理的性質が変化する現象を指します。
代表的なものとして、沈殿、白濁、結晶析出、乳化破壊などがあります。

例えば、pHの変化や濃度の変化によって溶解度が低下すると、有効成分が析出して沈殿が生じることがあります。物理的配合変化は比較的視覚的に確認できる場合もありますが、微細な粒子の析出などは見た目では分かりにくいこともあるため注意が必要です。

化学的配合変化

化学的配合変化とは、薬剤を混合することで化学反応が起こり、有効成分が分解または変化する現象を指します。

主な反応としては、加水分解、酸化還元反応、光分解などがあります。これらの反応によって有効成分が分解すると、薬効の低下や失活につながる可能性があります。

化学的配合変化は外観に変化が現れないことも多く、気づかないうちに薬効が低下している場合もあるため、安定性情報や配合変化データの確認が重要です。

薬理学的配合変化

薬理学的配合変化とは、薬剤同士の相互作用によって薬理作用が増強または減弱する現象を指します。

これは物理的・化学的な変化が見られなくても起こる場合があり、薬剤の併用によって期待した治療効果が得られなかったり、副作用が強く現れたりすることがあります。

hiyoko
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薬物相互作用として扱われることが多いよ!

そのため、薬剤を併用する際には、配合変化だけでなく薬物相互作用や薬理作用の変化についても十分に確認することが重要です。

配合変化が起こる主な要因

次に、配合変化が起こるよくある要因についてまとめていきます。

pHの変化

薬剤はそれぞれ異なるpHで安定しています。異なるpH同士の薬剤を混合することで、pHが変化し、沈殿・白濁することがあります。

特に酸性の薬剤とアルカリ性の薬剤は混合を避けるよう注意が必要です。

ちなみに病棟からの問い合わせで、「ちょっと白濁しちゃったんですが、そのまま投与しても大丈夫ですか?」といった問い合わせを受けることがあります。

白濁している場合、それが微量でも何らかの変化が起こっている為、沈殿物でルートの閉塞などが起こる可能性があります。なので投与は避けるのが望ましいです。

濃度の影響

薬剤同士を混合することで、濃度が変化し、薬剤の溶解度が低下すると、有効成分が溶けきれなくなり、成分が析出する場合があります。

析出した薬剤をそのまま患者さんに投与すると、患者さんの血管内に結晶が入ってしまう恐れもあり、危険です。

特に注射薬では、希釈方法や混合後の濃度によって配合変化が起こるため注意が必要です。

溶媒の違い

使用する溶媒の違いによって、薬剤の安定性や溶解性が変化し、配合変化が生じることがあります。

特に注射薬では、生理食塩液やブドウ糖液など溶媒の違いにより、分解や析出が起こる場合があるため注意が必要です。

hiyoko
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溶媒が添付文書で指定されている薬剤もあるよ!

どの薬剤がどの溶媒で溶解可能か、都度確認することが必要です。

配合変化で有名な薬剤【試験頻出】

次に配合変化が特に有名な薬剤についてまとめていきます。

フェニトイン注射液

強アルカリ性の薬剤で、基本的に他剤との混合はできない薬剤です。pHが低下した場合、フェニトインの結晶が析出します。

カルシウム含有輸液

カルシウムを含有する輸液はリン酸と反応して、リン酸カルシウムの沈殿を起こす為注意が必要です。

現場では、TPN(中心静脈栄養)の高濃度栄養輸液や、維持液への混合を聞かれることが多いです。特に維持液ではカルシウムを含有している薬剤が多く、注意が必要です。

また、抗菌薬のセフェム系の一部薬剤もカルシウムと反応して、結晶を析出します。

結晶が要因と考えられる死亡例も出ている為、必ず確認しましょう。

抗菌薬の安定性

βラクタム系の抗菌薬の一部は、アミノ酸と反応し、時間を経ると分解されていきます。結果として力価が下がる為、アミノ酸を含む製剤とは混合せず、別々に投与することが望ましいです。

実際に添付文書に混合しないよう記載されている抗菌薬もあります。配合変化を確認する際は、添付文書やインタビューフォームもチェックすることが重要です。

例)「ゾシン静注用2.25/ゾシン静注用4.5」添付文書

14.適用上の注意

14.1薬剤調製時の注意

14.1.1配合変化

  1. (2) 下記製剤と配合すると、3時間後に著しい力価の低下を起こすことがあるので、配合しないこと。
    アミゼットB輸液、キドミン輸液、フトラフール注400mg、5-FU注250mg、ネオフィリン注250mg

脂肪乳剤

脂肪乳剤は、他剤と混合することで、乳化が破壊され、粒子の粗大化や凝集につながる可能性があります。そのため、原則は単独投与となっています。

ただし、中心静脈栄養を施行している患者さんで、別ルートが取れず、かつ高カロリー輸液を止めることが出来ない場合は、側管から投与可能な製剤もあります。その場合は、他の治療薬が高カロリー輸液に含まれていないことが条件になるようです。

例)「イントラリポス輸液20%」の製品Q&A

No.2 イントラリポスの投与経路について教えてください。

イントラリポス輸液は、末梢静脈ルートまたは中心静脈ルートから、原則単独投与してください。

中心静脈ルートで、どうしても別ルートがとれず、かつ高カロリー輸液をとめることができない場合には、フィルターより患者様側の側管から投与することがあります。
但しその場合、高カロリー輸液に他の治療薬などが混注されていないことが前提となります。
また、脂肪粒子は0.2μmのフィルターを通過しないため、中心静脈栄養の側管投与の場合はフィルターよりも患者側の側管に接続するようご注意ください。

無菌製剤処理とは

無菌製剤処理とは、無菌状態を維持しながら

  • 注射薬
  • 点滴
  • 抗がん剤

などを調製する業務のことです。

無菌製剤処理の目的

薬剤の微生物汚染防止や、調剤を行う薬剤師の曝露防止などの医療安全を目的として行われます。

要件を満たすことで、診療報酬の「無菌製剤処理加算」の対象となります。

対象となる薬剤

  • 抗がん剤
  • TPN(中心静脈栄養法用輸液)
  • 麻薬

が対象となります。2つ以上の注射薬を無菌的に混合して、製剤した場合に算定出来ます。

麻薬の場合は希釈についても算定可能です。

無菌製剤処理の基本操作

無菌製剤処理は、無菌的に行われることが前提条件です。使用する環境にも注意が必要です。

クリーンベンチの使用

無菌環境を作り出す為に、クリーンベンチや安全キャビネットが使われます。

使用時は、

  • 庫内の層流を遮らないこと
  • 奥のフィルターや手前の作業口を塞がないよう手や作業位置を決めること

に注意して作業を行なっていきます。

消毒

使用前は庫内の作業場所をエタノールで消毒します。

通常奥から手前上から下へ消毒を行います。

また、使用前の一定時間ファンを稼働させて、庫内の空気の入れ替えを行うことも重要です。

ガウンテクニック

無菌的に作業を行う為、また調剤者を被曝から守るため、個人防護服を着用する手順も重要です。

身につける際は、

ガウン→マスク→ゴーグル→キャップ→手袋

の順で身につけます。

手袋は汚染させない為、最後に着用するのがポイントです。

外す場合は、

手袋→ガウン→キャップ→ゴーグル→マスク

の順で外します。

一番汚染している手袋を最初に外し、マスクは口や鼻を最後まで守る為に、最後に外すと知っておくと覚えやすいです。

hiyoko
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自分の身を守る為に、順番は必ず覚えておこう!

病院薬剤師が注意すべきポイント

配合変化は、錠剤の粉砕や一包化可否などに加えて薬局に問い合わせが頻出するテーマの一つです。

特に病院勤務の場合はTPNを使用する患者さんが多いです。患者さんによって栄養の組成も異なる為、薬剤同士の配合変化は一つ一つ地道に確認していくことが大切です。

配合変化は、インタビューフォームや書籍、製薬企業のホームページに記載されていることもあります。確認して正しい知識を伝えられるようにしましょう。

実際の現場では、先輩に「多分大丈夫じゃない?」と何となくの経験論で情報提供を得られることもあります。

配合変化は、溶媒や使用する薬剤の量によっても左右されることがある為、その時は大丈夫だったけど、実際は配合変化が起こりやすい、ということもあり得ます。必ず信頼出来る情報源を確認するようにしましょう。

また、クリーンベンチの使用方法などは、過去の薬剤師国家試験でも出題されている程必須知識です(第98回薬剤師国家試験 問332(実践問題))。

何故その作業が必要になるのかを常に考えながら、実践を通して、確実に身につけておくことが重要です。

まとめ

配合変化は注射薬の安全性に直結する重要な知識です。
無菌製剤処理では、無菌操作と配合変化の両方を理解する必要があります。

幅が広く、苦手意識を感じる分野ではありますが、病院薬剤師として安全な薬物療法を提供するためにも、基本を整理しておくことが大切です。

以上、hiyokoでした^^

以下の項目の試験対策としてまとめました。

日病薬病院薬学認定薬剤師認定試験 出題基準
Ⅱ.基本的業務の向上を図る
Ⅱ-1:調剤
●配合変化、無菌製剤処理について理解している。

以下の資料を参考にしています。

・添付文書「アレビアチン注250mg」「ゾシン静注用2.25/ゾシン静注用4.5

・日本静脈経腸栄養学会「静脈経腸栄養ガイドライン第3版

・厚生労働省「「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」の
一部改正について

・福井県「新型コロナウイルス感染予防個人防護具の着脱について

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