【完全版】薬の情報検索のやり方|新人薬剤師でも迷わないDI業務の基本手順

日病薬認定試験勉強

今日は、hiyokoです。総合病院で薬剤師として勤務しています。

患者さんだけでなく、医師や看護師等色々な職種の方から問い合わせを受けた際に、薬剤師の日々の業務内でも重要度の高い、「薬の情報収集」。

でも、薬の情報を検索する時って、何から調べればいいか迷いませんか?

  • 添付文書だけでいいの?
  • どこまで調べれば十分?
  • 忙しい中で効率よく調べたい

こんな悩みを持つ方は多いと思います。

この記事では、病院薬剤師の実務で使っている「薬の情報検索の手順」を、初心者向けに分かりやすく解説します。

はじめに:薬の情報検索は「順番」が大事

問い合わせが来た際、薬の情報は、正確に・かつ素早く収集する必要があります。

なので、薬の情報はやみくもに調べるのではなく、信頼性の高いものから順番に確認することが重要です。

私の場合ですが、基本の流れは以下の通りとしています。

【結論】薬の情報検索の5ステップ

  1. 添付文書を確認する
  2. インタビューフォーム(IF)や適正使用ガイドで補足
  3. AIを活用
  4. 論文、ガイドライン、書籍、ウェブサイトで裏付け
  5. 必要ならメーカーへ問い合わせ

4と5は順番が入れ替わることもありますが、基本的にはこの順番で調べることで、効率よく正確な情報にたどり着けます。

また、AIで検索すると、大筋は正しい情報を提示してくれますが、一部誤った情報が含まれたり、現場にはそぐわない情報を提示することもある為、注意が必要です。

STEP1:まずは添付文書を確認する

最初に確認するのは添付文書です。

ポイント

  • 用法・用量
  • 禁忌
  • 副作用
  • 相互作用

添付文書は最も基本で、必ず確認すべき情報源です。

「この薬を飲んでいる患者さんにこんな症状が出たんだけど、薬の副作用の可能性ある?」「他院から複数お薬貰ってるんだけど、今回処方された薬との飲み合わせは大丈夫?」

こんな問い合わせが来た場合は、添付文書の確認が有効です。

ただし注意点もあります。

⚠️ 注意

添付文書は「最低限の情報」が中心です。
その為、細かい臨床判断まではカバーしていないことが多いです。

薬の中には、現場で適応外(添付文書の用法用量の範囲外)で使用される薬もあります。

例えば、亜鉛欠乏の患者さんに、胃潰瘍の治療薬であるポラプレジンク錠が処方されるケースも度々見かけます。

勿論、適応外処方は薬剤師の側から見ると、メーカーによる安全性が証明されている訳ではない為、積極的にお勧めできる訳ではありません。

ただし、使用実績が多い薬については、「添付文書には載ってないけど、こんな使い方もあるんだ」と知っておくことが重要です。

その場合には、添付文書だけでは情報が不足することがあります。

STEP2:インタビューフォーム(IF)や適正使用ガイドで補足

添付文書で不足する情報は、IFや適正使用ガイドで補います。

IFや適正使用ガイドで分かること

  • 試験データ
  • 詳細な副作用情報
  • 薬物動態(PK)
  • 開発背景

添付文書よりも「深い情報」が得られるのが特徴です。

例えば、医療の現場では、錠剤をそのまま飲めない患者さんの為に、錠剤を粉砕したり、PTPシートから錠剤を取り出しにくい患者さんの為に、一包化(用法毎に薬をまとめてパッキング)する場合があります。

粉砕や一包化については、メーカーでは推奨されていない為、「出来ますか?」と確認しても「適応外なので……」と情報を教えてもらえないことが多いです。

その場合、IFに記載された、製剤や有効成分の安定性試験や、製剤の組成(フィルムコーティング錠、裸錠など)の情報が役立ちます。

また、適正使用ガイドでは患者さんに投与する際の注意事項や、臨床試験データも詳しく載っています。

どちらもインターネットから手軽に確認できるので活用してみて下さい。

STEP3:AIを活用

今は色々なAIがあり、情報収集に欠かせなくなりました。

AIによって特徴はあるようですが、最初は自分の使い慣れたAIを使用する形で大丈夫です。

私は、日頃使い慣れていることもあり、ChatGPTを利用しています。

ただし正しい情報か確認する為、必ず、他のステップで裏付けを取ることが大事です。

AIで調べたい内容を検索し、回答の方向性を掴んだ後、STEP4の方法で適切な内容かどうかの確認を行います。

STEP4:論文、ガイドライン、書籍、ウェブサイトで裏付け

さらに詳しく調べたい場合は、論文やガイドラインを確認します。

こんなときに使う

  • 添付文書にない使い方
  • エビデンスを確認したいとき
  • 他剤との比較

実際の薬剤は、適応外で使用されるケースもあり、添付文書の用法用量に沿った使い方になっていないケースも見受けられます。

その場合は、各疾患のガイドラインや、関連学会の学術論文、書籍などに記載されていることが多く、臨床判断に必要な根拠を得るステップとなります。

STEP5:メーカーへ問い合わせ

それでも解決しない場合は、メーカーに問い合わせます。

  • 特殊な症例
  • 文献にない内容
  • 緊急性が高い場合

他の情報媒体でデータが得られない場合の最終手段として活用します。

ただし、メーカーは時間外や土日、長期休暇中は臨時休業していることが多いです。

土日の日直中や、当直中は中々必要な情報が得られないことも……

メーカーのホームページに製品のQ&Aを掲示していることもあるため、そちらの確認もおすすめです。

添付文書だけでは危険なケースもある

実際の業務では、添付文書だけでは判断が難しいことがあります。

例えば、

  • 腎機能低下時の細かい用量調整
  • 高齢者での使用
  • 併用薬との影響、など

添付文書に書いてあっても「現場では不十分」なことがあります。

例えば、腎機能低下時、お薬によっては効果が強く出てしまう為、減量が必要と考えられる薬剤があります。

メーカーによっては、腎機能低下時の減量用量を添付文書に記載している場合もありますが、情報が載っていない薬剤も数多くあります。

その場合、IFや論文での確認が重要になります。

また、腎機能低下時の薬剤投与量について、詳しくまとめた書籍やウェブサイトもある為、そちらの情報収集も必要です。

参考書籍・インターネットサイト

私は以下の書籍・インターネットサイトを業務に使用しています。(年号は省略しています)

お薬の用法用量、禁忌、相互作用を確認する時

  • 治療薬ハンドブック 薬剤選択と処方のポイント(じほう)
  • 治療薬マニュアル (医学書院)

薬の情報は日々改訂される為、情報が古いケースも想定されます。出来る限りインターネット上で最新の情報を確認することが望ましいですが、日々の忙しい業務の中で都度検索するのは時間がかかる為、基本的な内容は書籍で確認し、医薬品・医療機器等安全性情報やDSU、企業からのお知らせで改訂内容を確認するようにしています。

錠剤やカプセル剤を粉砕して投与したい時

  • 錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック(じほう)
  • 内服薬 経管投与ハンドブック(じほう)

基本的に薬は粉砕する前提で作られていない為、製薬企業では粉砕試験が行われていないことが多いです。しかし、臨床では実際に患者さんが錠剤が飲みにくかったり、用量調整の為に粉砕せざるを得ない状況が多々あります。粉砕ハンドブックでは実際に粉砕した際の光への安定性や、有効成分の減少具合等が記載されています。

抗がん剤等、粉砕が難しい薬については、経管投与ハンドブックが便利です。薬の製剤設計や添加剤等も考慮され、実際に経管投与した結果からの投与可否が分かりやすく記載されています。

特定の患者に薬を投与したい時

  • 腎機能別薬剤投与量 POCKET BOOK(じほう)
  • 実践 妊娠と薬(じほう)
  • 妊娠とくすり情報センター(国立成育医療研究センター)

高齢者や一部の病気の患者さんでは腎機能が低下しており、お薬を添付文書の用法用量通りに投与すると、排泄が遅れ、過剰投与になってしまうことがあります。添付文書によっては、腎機能低下時の用法用量まで記載されている薬もありますが、注意喚起のみされ、実際にどの用法用量で処方すれば良いのかまでは書かれていない添付文書がほとんどです。「腎機能別薬剤投与量 POCKET BOOK」は多くの薬を網羅しており、腎機能低下の程度に合わせてどの位の用法用量が適切かを分かりやすく表で示してくれています。

妊娠や授乳されている患者さんの場合、お腹の胎児や乳児へのお薬の影響を考える必要があります。しかし、一般的にお薬開発の際、妊婦・授乳婦は治験の対象外となっていることが多く、データが少ないのが実態です。お薬の投与可否を知りたい場合は、「実践 妊娠と薬」、Webサイトでは「妊娠とくすり情報センター」がオススメです。エビデンスに基づいた、代表的な薬剤の投与可否が記載されています。

【よくある失敗】やってはいけない情報検索

ここでは私も新人時代よくやってしまった、初心者がやりがちなミスも紹介します。

❌ 添付文書だけで判断する

「この薬、授乳中に使っても大丈夫ですか?」新人時代、1人の時に問い合わせを受けて、添付文書に記載されている通りに回答して終わらせてしまったことがあります。

妊婦・授乳婦については、臨床試験に参加できない事から、添付文書では、「データがない為授乳は避ける」「動物実験で乳汁への移行が確認されている」など、授乳に否定的な記載が多く見受けられます。

一方、実臨床では、投与せざるを得ない患者さんが多くいた結果を集積し、授乳しても乳児に悪影響がほぼないことが分かってきた薬剤も多くあります。

添付文書に記載された内容だけでは、実際の患者に使用するには情報が足りないことがある為、都度他の検索媒体も使用することが必要です。

❌ ネットのまとめ記事だけ見る

他の薬剤師の先生がまとめてくれたネットのまとめ記事。勉強になる部分が多く、かつ分かりやすい為、信頼して、記載した内容を丸ごと鵜呑みにしがちです。

決して書いた先生方を批判する訳ではないのですが、まとめ記事は、書いた人の主観が入り、一部信頼性が低い情報もある可能性があります。

本当に正しい情報か自分で裏付けを行うことで、より情報検索の信頼性をあげることができます。

❌ 古い情報をそのまま使う

インターネットで気軽に情報検索ができる時代ですが、古い情報もそのまま保管されていることがあり、注意が必要です。

特に薬については、日々何かしらの改訂や変更が加えられていることが多く、最新の知見とズレることがあります。

薬の用法用量を書籍で調べたら、実際はその後添付文書の改訂が行われており、別の使用方法もあることに気づけないリスクも。

必ず「一次情報」に近いものを優先し、常に最新版を確認するよう心がけることが大切です。

【時短】効率よく調べるコツ

忙しい現場ではスピードも重要です。

私なりに考えた、効率よく調べるコツは次の通りです。

  • まず添付文書で全体像を把握
  • IFでピンポイント検索
  • 薬の基本情報以外は、AIも活用し、論文などで裏付けを行う。

薬については多くの情報があり、全部に目を通していると時間のロスになってしまいます。

「全部読む」のではなく、「今回必要なところだけ」確認するのがポイントです。

まとめ

薬の情報検索は、慣れればスムーズにできるようになります。

最初は時間がかかっても大丈夫です。
自分に合った「正しい順番で調べる」ことを意識するだけで、確実にレベルアップできます。

薬剤師は日常で医療従事者や患者、患者のご家族等多方面から、薬についての問い合わせを受けます。

分からない内容が出てきた時、調べる方法を身につけておくことも重要です。毎日忙しい業務の中ではありますが、時間を見つけて自己研鑽を頑張っていきましょう!

以上、hiyokoでした^^

以下の項目の試験対策としてまとめました。

日病薬病院薬学認定薬剤師認定試験 出題基準
Ⅱ.基本的業務の向上を図る
Ⅱ-3:医薬品情報
●医薬品情報の検索方法について理解している。

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